女性の深層心理を描き共感を呼ぶ桐野夏生|DVD・CDの買取は中古じゃぱん

OUT

深夜の弁当工場で働くパート主婦の弥生が、ギャンブル癖のある夫の暴力に耐え切れず夫を殺害してしまいます。それを知ったパート仲間の主婦達は、死体をバラバラにして証拠隠滅を図ります。しかし、仲間の主婦の裏切りなどによって、暴力団の脅しや警察の追及を受けるようになり次第に追いつめられていきます。

それぞれに悩みを抱えた主婦が、事件をきっかけに徐々に落ちていく様子が緊迫感のある描写で書かれています。

柔らかな頬

夫の仕事関係者と不倫中の女性・カスミは、双方の家族と北海道の別荘へ出かけます。不倫相手とカスミはともに過ごす喜びから、家族を捨ててもいいと思い始めます。そんな矢先、カスミの長女が突然行方不明になってしまい、警察が捜索しても見つかりません。カスミは、家族を捨ててもいいと思った自分を悔やみ、警察が捜索を打ち切ったあとも探し続けます。

カスミの長女を誘拐したのは誰なのか、読者の判断が分かれるラストとなっています。

顔に降りかかる雨

都内に住むルポライターの燿子は殺人事件の犯人を目撃した直後、婚約者・成瀬の金を持ったまま行方不明になってしまいます。

成瀬は燿子の友人・村野ミロに行方を尋ねますが、ミロには心当たりはありません。成瀬の金は暴力団から借用したもので、暴力団は期限内まで待つ代わりにミロと成瀬の命を差し出すように迫ります。

ミロと成瀬は、燿子と金を必死に探し回ります。そして、ある人物の家で水死体になった燿子の写真を見つけますが、その人物も既に死亡していました。

ミロと成瀬は、燿子の死・金・殺人との関係を追求していきます。

だから荒野

東京で家族と暮らす専業主婦の森村朋美は、自分に全く関心を示さない家族に愛想をつかしマイカーで家出を決行します。しかし、朋美は途中で出会った若い女性にお金と車を奪われ全てを失ってしまいます。

そんな朋美を長崎へ向かう途中の老人・山岡が助け、朋美の住まいの世話までしてくれるのでした。

生活が落ち着いた朋美から連絡を受けた引きこもりの次男・雄太は朋美のもとに転がり込みます。

そして、原爆の語り部として活動する山岡を次第にサポートするようになります。生きていることの有難さや家族の繋がりの必要性を感じさせる作品です。

魂萌え

心筋梗塞で急死した夫に愛人がいたことを知った専業主婦の敏子はショックを受けますが、友人たちに励まされ何とか立ち直ります。そして、夫を偲ぶ会で知り合った男性に恋した敏子は楽しい毎日を送りますが、直ぐに男性と破局してしまいます。

意気消沈した敏子は様々な場所に出歩くうちに、自分の知らない別世界があることを実感します。今まで家族を優先していた敏子は、夫の遺産を巡って対立する子供達を一喝、閉じ込めていた自分を取り戻していく様子が描かれています。