しっとり読書をしたい夜は江國香織|DVD・CDの買取は中古じゃぱん

思いわずらうことなく愉しく生きよ

DVに悩む長女、麻子。キャリアウーマンの治子。恋愛観が独特な育子。三姉妹の物語は麻子のDV問題をきっかけに進んでいくのですが・・・。

三姉妹ぞれぞれの恋愛に対する、問題や描写が重いです。しかし一見、共感できなさそうな設定かと思いきや「この部分わかってしまうかも」とちらりと思う。「どうせ人間いつかはみんな死んでしまうのだから、」とタイトルへ続くセリフはそうだよな…と思わず考え込んでしまいます。

号泣する準備は出来ていた

第１３０回の「直木賞」を受賞したことでも知られるこの作品。１２編の短編でまとめられたこちらは男女のもの悲しさを繊細につづられた一作です。

なかでも表題作はうまくいっていたはずの恋愛が少しずつずれていく主人公のひたひたとした悲しさが染みてくる名作です。本当はきっともうずっと前から「号泣する準備は出来ていた」と、読者ですらそう思ってしまいます。

泳ぐのに、安全でも適切でもありません

いろいろな人たちのいろいろな人生のいろいろな部分をきりとった短編集。

けっして、安全なわけでもまた適切なわけでもない１０人の女性たちの物語にわかってしまう気がする・・・と共感してしまう部分があると思います。

どれもが短くてさらさらと読めてしまうのに、確実に心の中に何かを残していくような不思議な作品です。

神様のボート

次々に引越しを繰り返してゆく野島葉子とその娘、草子。なぜならば、その町に馴染んでしまうと骨ごと溶けるような恋愛をした「あのひと」に会えなくなってしまうような気がするから。でもそんな生活に草子は嫌気がさしてきて・・・。

こんなにも誰かを愛することができるのかな、と立ち止まって考え込んでしまう作品。「骨ごと溶けるような恋」。江國香織の最高傑作は、恋愛の静かな狂気を感じることができます。

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

さまざまな職業をもつ９人のどこか満ち足りない気持ちをもつ女性たち。その女性と周りの男性たちとの恋愛を描いた小説。

一人一人独立した一人称で語られてゆきますが、少しずつ絡まりあっているので、この人はさっき出てきたあの人？と何度か読み返してみても楽しめる作品です。

読んでいて、どこかもの悲しくなってしまう淡々とした物語です。